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トレーニングの効果をより高める大切なポイントは栄養と休養にあり
1.筋力トレーニングにより、筋肉の量や筋力が高まると、パフォーマンスは上がる
筋肉の働きを強くする、つまり筋肉の量や筋力を高めると、理想とするパフォーマンスをもっと発揮しやすくなることが、スポーツ科学のデータにもあります1)。
図1は、太ももの筋肉を輪切りで見た時の面積(断面積)と、膝を伸ばす動作の最大筋力(挙上力)の関係について示したデータです。
図1
このデータから、筋肉の断面積が大きくなるほど、発揮できる力も上がっていくことがわかります。この、筋肉の断面積、つまり筋肉を大きくするにはトレーニング、つまり“筋トレ”が必要となります。トレーニングすることで、筋肉は大きくなっていき、発揮できる筋力も高くなっていきます。
1) Koopman J, van Loon LJ. J Appl Physiol. 2009; 106: 2040-8
2.筋肉の量と筋力を高めるトレーニングとは?
筋肉の量と筋力を高めるためのトレーニングとはどのようなものでしょうか。
筋力トレーニングという名前で広く知られているのは、筋肉に力をかける「レジスタンストレーニング」(ダンベルなどの重りとなるものを用いたものや、自重での腕立て伏せ、スクワットなどのこと)です。この「レジスタンストレーニング」をすることで筋肉の量や筋力にどんな影響があるのかを調べたデータがあります。図2は、男性(平均25歳)36名が参加し、「レジスタンストレーニング」を週3回、12週間行った時の筋肉の量の変化を調べた結果です2)。
トレーニング後は、太もも前方の筋肉である大腿四頭筋(外側広筋)が、トレーニング前と比べて厚くなりました。
図2
図3を見てみましょう。同様に、18~35歳の男性3名、女性6名、計9名で「レジスタンストレーニング」を週3回、6週間行った際の筋力の変化を調べたデータです。トレーニング後の、ベンチプレス、スクワットの最大筋力は、トレーニング前と比べてアップしました3)。
図3
このことから、正しく筋トレをすると、筋肉の量も筋力も高まるようになり、パフォーマンスアップにも役立つと考えられます。
ただし、どんなトレーニングであっても、やり過ぎてしまうのは怪我や故障などが起こす原因になるので、自己流はできるだけ避けて、専門家の指導を受けるようにしましょう。
2) Reidy PT, et al. Eur J Appl Physiol. 2017; 117(5): 853-66
3) Candow DG, et al. Int J Sports Nutr Exerc Metab. 2006; 16: 233-44
3.トレーニングは栄養と組み合わせること、特にたんぱく質を摂ることが大事
トレーニングを行うと、その効果として筋量や筋力が高まることを説明しましたが、栄養、特に注目したいのがたんぱく質(アミノ酸)です。トレーニングを行っても、たんぱく質(アミノ酸)を摂らないと、筋肉のタンパク質が作られる量と壊される量の差(ネットバランス)がプラスにならず、効果が得られないので4)。一方、たんぱく質(アミノ酸)をトレーニングと組み合わせて摂ることで、ネットバランスがプラスになり、トレーニングの効果が得られることも分かっています5)。
トレーニングすると、カラダが必要とするたんぱく質の量は増えます。アメリカスポーツ医学会(ACSM)が最近発表したデータでは、スポーツ選手が摂ることを奨められているたんぱく質の量は、1日に体重1kgあたり1.2~2.0g(体重70kgの場合、1日あたり84~140g) 6)。これは、一般的な成人のたんぱく質の摂取量である1日に体重1kgあたり0.95~1.01g 7)と比べると、なんと1.3~2.0倍にもなる、かなり多い量なのです。
図4は筋トレをしている人が、一日にどのくらいのたんぱく質を摂っているかと、トレーニングに伴う除脂肪体重(体重から、脂肪の重さを差し引いた値:おおよその筋量を示す)の増加量の関係を示したデータです8)。たんぱく質を摂る量を「一日に体重1kgあたり1.6g」まで増やすと、除脂肪体重の増加を最大に高めることができることが分ります。
図4
しかしながら、必要とされる量を超えて、沢山のたんぱく質を摂っても、増やせる筋肉の量はあまり変わらないこともわかっています。同じデータから、「1日に体重1kgあたり1.6g」を超えて摂った場合でも、増える筋肉の量は変わりませんでした。摂取したたんぱく質のうち、筋肉のタンパク質を増やすことには使われなかった部分があることを示しています。
つまり、トレーニングと筋肉のタンパク質を作るために適切な量のたんぱく質を組み合わせると、トレーニングの効果がもっと高まるということです。
4) Biolo G, et al. Am J Physiol. 1995; 268(3 Pt 1): E514-20
5) Biolo G, et al. Am J Physiol. 1997; 273(1 Pt 1): E122-9
6) Thomas DT, et al. Med Sci Sports Exerc. 2016; 48(3): 543-68
7) 日本人の食事摂取基準(2020年版)
8) Morton RW, et al. Br J Sports Med. 2018; 52: 376–84.
4.しっかり休養すること(しっかり睡眠をとること)も大切なトレーニング
トレーニング効果をしっかり得るためには、栄養と休養がとても大切なことを説明しましたが、ではなぜ休養(睡眠)がそんなに大切なのでしょうか。睡眠不足になると筋力トレーニングの効果が下がってしまうというデータがあります9)。頑張って行ったトレーニング効果をしっかりと得るために、早めに寝ることが大切なことがわかります。
十分な栄養(たんぱく質・アミノ酸)を摂り、しっかりと休養(睡眠)すること、さらに栄養と休養を組み合わせることで、頑張ったトレーニングの効果をもっと高めることにつながるのです。
9) Knowles OE, et al. J Sci Med Sport. 2018 Sep; 21(9): 959-68
5.まとめ
今回説明したことをまとめると、
- ・筋肉の量を増やすと、発揮できる筋力は上がる
- ・自分に適したトレーニングをすることで、筋肉の量と筋力は高まる
- ・トレーニングの効果を上げるには、十分な栄養(特にたんぱく質)を摂ることが大切!
- ・しっかりと寝ること(十分な睡眠をとること)もトレーニングの一部
自分に適したトレーニング、十分な栄養と十分な休養の3つを組み合わせることで、トレーニングの効果をもっと高めることできることが、わかりましたか?栄養面では、特にたんぱく質とアミノ酸に注目して、さらにトレーニングの効果を高めることも考えてみましょう!
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〈監修者〉藤田 聡(ふじた さとし)
立命館大学 スポーツ健康科学部 教授。 ●2002年南カリフォルニア大学大学院博士号修了 ●博士(運動生理学) ●2006年テキサス大学医学部内科講師、2007年東京大学大学院新領域創成科学研究科特任助教を経て、2009年より立命館大学 ●米国生理学会(APS)や米国栄養学会(ASN)より学会賞を受賞 ●専門は運動生理学、特に運動や栄養摂取による骨格筋の代謝応答 ●監修本に『図解眠れなくなるほど面白い図解 たんぱく質の話』、共著に『体育・スポーツ指導者と学生のためのスポーツ栄養学』など。
■藤田聡教授研究室について
立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授研究室では、運動と栄養摂取が身体組成やスポーツ・パフォーマンスに及ぼす影響を検討しています。筋肉を分子レベルで検討する基礎研究から、子どもから高齢者までの幅広い年齢・体力を対象とした臨床研究まで、総合的な実験アプローチを用いることで、運動指導の現場に還元できるスポーツ科学のエビデンスの構築に向けて日々研究を続けています。具体的な研究内容として:
1) 特定の機能性食品と運動を組みあわせた際の、脂質代謝や骨格筋タンパク質の代謝に及ぼす影響の検討
2) サルコペニア(加齢性筋肉減弱症)を目的とした長期的なトレーニング介入や栄養介入の検討
3) ジュニアアスリートのスポーツ・パフォーマンス向上を目的としたトレーニング方法の開発
などが挙げられます。
http://www.fitness-lab.net