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[特別対談]登山後編:山登りはチャレンジ精神と自分で判断していく力が必要
自分なりのペースで、年齢を問わず楽しめる登山。自然の中に入り込み、好きなスタイルで非日常を満喫できるのは魅力のひとつです。ただ、自由であるからこそ、事前準備やレベルに合わせた栄養補給が重要になります。今回は登山家の花谷泰広さんに、豊富な経験から感じたことや…
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アミノ酸で疲労回復をサポート|ロイシンの効果でコンディション調整
アミノ酸の一種「ロイシン」が筋肉の疲労回復に果たす役割を解説。筋たんぱく質の合成を促してダメージ回復を助け、トレーニング後のリカバリーとコンディショニングを支える仕組みを紹介。
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アラニンとプロリンの効果で糖質エネルギーを活用し、持久力とパフォーマンスを維持する
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シスチンの効果で運動による疲労軽減しエネルギー効率を維持する
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関節と腱の栄養補給を支える『関節・腱コンディショニング向け6種アミノ酸ミックス』
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[特別対談]登山前編:山登りの魅力は見たことのない景色が広がること
[インタビュー]
登山家 花谷泰広さん
味の素㈱ 山田敏之さん
他のスポーツと比べて運動時間が長く、ハードな登山
――登山の魅力はどんなところにありますか?
花谷:老若男女が自分のペースで、好きなスタイルで楽しめるところですね。決められたものがなく、自由なところがすごく良いと思います。大自然の中に入っていくことによって、体も心もリフレッシュできる。普段の生活では見たこともないような景色を見ることができる。そういった体験が魅力だと思いますし、僕はそれがすごく好きでずっと続けています。

山田:夏と冬では、想定されるリスクや山の楽しみ方も違うと思います。季節ごとに注意する点などはありますか?
花谷:夏はやはり暑いので、特に水分補給に気をつけなければいけません。春と秋は温度差があるので、天候によって服装を変えたり、天気の急変に対応できるだけの準備をしておきたいです。そして、冬はやっぱり寒さですね。気温が上がってくる春先であっても、低体温症などの危険があるので慎重にならなければなりません。季節によって気を付けるポイントは、多岐にわたります。

――登山はゆったりとしたペースでも楽しめますが、やはり運動面はハードですか?
花谷:登山と他のスポーツの大きな違いは、運動時間が長いことだと思います。 朝から夕方まで、時には10時間から12時間ほど動く時もあります。さらに、それが何日も続く場合がある。その運動時間の長さが他のスポーツと違う特殊なポイントですし、大変なところだなと思います。
山田:長時間の運動になると、消費エネルギーに見合うだけの食事も重要になりますよね。
花谷:行動時間が長ければ長いほど、持っていく食料や水分は増えていきます。栄養補給のタイミングもすごく重要で、例えばマラソン選手は途中で何度か給水ポイントがありますよね。登山も同じイメージで、1時間に1回くらいの頻度で、補給をし続けていくことが重要になります。
山田:食料を持っていく際の量の目安などはありますか?
花谷:荷物は軽ければ軽いほど楽なので、心配で色々なものを持っていくと、かえって足かせになってしまうことも。だからこそ、そのバランスがすごく難しいです。経験を積めば自分の力量も理解できて、必要なものが分かってくるので、徐々に荷物も減っていきます。それを見極められることが、何をどれだけ持って行くかより大事だと思います。

日常的に登山靴の重さに慣れて、安定感を出す
――事前のトレーニングはどんなものがオススメですか?
花谷:登山靴は普段履く靴よりもかなり重く、しっかりしているものだと1kgもあります。それに慣れるため、オススメしたいのは足にウエイトをつけるトレーニングです。実際の登山時はさらに荷物も背負うので、足の重さに日常から慣れることは重要だと思います。
山田:登山レベルの初級・中級・上級別で、トレーニング方法に違いがあれば教えてください。
花谷:基本的にはカラダへの負荷のかけ方が違うだけなので、どれだけ追い込むかですね。あとは結局山に登ることが1番のトレーニングだと、よくアドバイスしています。経験年数が長くても月に1度しか登っていない方と、まだ登山を始めて2~3年でも毎週のように近くの山に登っている方を比べると、後者の方が安定感があるように思います。
山田:花谷さんは頻繁に山に登られていますが、登山前後の食事で気をつけていることはありますか?
花谷:若い頃は何も気にせず、食べたいものを食べていました。でも、最近は年齢と共に回復が遅くなってきたので、意識するようになりました。栄養補給に関しては、登山前はしっかりエネルギーを貯めこむこと。登山後は、私の場合、回復を促すためにたんぱく質が多い食事を摂るようにしています。山を登った後って、無性に肉が食べたくなるんですよね。それだけカラダを使っているということなのだろうと思います。

山田:登山における怪我や故障は、どのようなものが多いでしょうか。また、怪我をしないための対策などあれば教えて下さい。
花谷:何か起こる時は、下山中が多いです。山を降りるときには気が抜けているからだと思います。疲れも溜まっている中、転倒などの事故はすごく多いですね。そのまま自分で降りられる時はいいですが、最悪の場合、歩けなくなって救助が必要になるので、怪我に対しては慎重に考えたほうがいいと思います。
すぐ吸収できるもので栄養補給をする
――栄養補給用に持って行くのは、どういったものですか?
花谷:登山は運動時間が長いので、1時間に1度など、しっかり栄養補給をしながら登っていくのが基本です。お腹を満たしてくれる固形物と、疲れた時でも簡単に食べられるゼリー状のアミノ酸などは、すごく効果的です。ゼリーは登山前に摂取することもありますし、空腹状態を作らないように、登山中もちょっと疲れてきた時は栄養補給するように意識しています。
山田:1回の登山を問題なく達成するために、欠かせないのが水分補給だと思います。気を付けていることや、こういったものを飲んでいるなどあったら教えてください。
花谷:水分補給に関して意識しているのは、真水だけでは飲まないことです。汗をかくため、真水だけを摂りすぎると塩分不足で足がつることもあるので、スポーツドリンクなどで水分摂取しています。あとは塩むすびで塩分を補ったりしますね。
山田:実は白米の塩むすびより、鮭やツナなどの具が入っている方が、たんぱく質が取れて良いとは言われています。ご飯やパンだけだと糖質中心になり、どうしてもたんぱく質が足りません。塩むすびだけだとしたら魚肉ソーセージのようなたんぱく質も一緒に摂ると、山での携行食としては良いのではないかと思います。
花谷:塩むすびの方が食べやすいかなと思って具なしにしていましたが、そこに鮭などが入っていた方が栄養的には良いのですね。勉強になりました。

『前編』では山登りの魅力や事前準備、登山前後の栄養補給などについてご紹介しました。
『後編』では、本格派な山登りへのアドバイスと花谷さんの思い描く、自然と共存する理想の未来をご紹介します。
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登山家 花谷泰広さん

日本山岳ガイド協会認定・山岳ガイド
グローバルに活躍する登山家。ヒマラヤや南米など多くの登山に挑戦。現在は山岳界の発展を願い、後進の育成を目指したプロジェクト「ヒマラヤキャンプ」の主宰や、登山道の環境保全活動に取り組むなど精力的に活動中。
味の素(株)スポーツニュートリション部 開発企画グループ 山田敏之

薬剤師、スポーツファーマシスト
大学院薬学研究科を卒業後、医薬品の研究、営業企画、プロダクトマネージャーなどを経て、2015年より現職。スポーツシーンにおけるアミノ酸の効果・有用性を臨床試験などで科学的に検証する業務を担当。2020年より「アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ」を立ち上げ、部活生、アスリート、スポーツ愛好家など、スポーツに真剣に取り組む方へ、アミノ酸の価値ある情報を発信中。



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