バランスのよい食事と補食のキホン(パートⅡ:筋肉とたんぱく質・アミノ酸、補食の活用)

バランスのよい食事と補食のキホン(パートⅡ)

スポーツを行う人にとって、日々の食事が重要であることは、みなさんも理解していることだと思います。特に、「食事をバランスよく食べる」ことが重要であることを理解していても、日々の食事について考え、行動できる人は多くはないでしょう。

本コンテンツを参考に、スポーツを行う人にとって重要な食事、補食、具体的な栄養素について学び、普段の食事や栄養を見直してみませんか?
皆さんのカラダの基本となる食事と栄養についてしっかりと考え、より良いパフォーマンスの発揮につなげていきましょう。

4.筋肉から考えるたんぱく質・アミノ酸

バランスのよい食事と補食のキホン(パートⅡ)

私たちのカラダは、その60%が水、残りの40%の半分、20%はタンパク質でできています。「筋肉=タンパク質」ということは想像し易いかも知れませんが、皮膚、髪の毛、ホルモン、酵素などもタンパク質で構成されています。カラダの中でいろいろな働きをしてくれるタンパク質の元はアミノ酸です。タンパク質を構成するアミノ酸は、20種類しかありません。この20種類のアミノ酸の様々な組み合わせによって、体内でいろいろな働きをしているタンパク質になるのです。

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カラダは、タンパク質でできており、毎日分解と合成が繰り返されています (これを、新陳代謝と言います)。壊されたタンパク質(壊れた結果、アミノ酸になる)は、様々な代謝を受けて最終的に尿中に排出されてしまいます。
つまり、壊された分のタンパク質を再合成するために、材料となるアミノ酸(たんぱく質) を食事や補食から取り入れる必要があるのです。

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壊れるタンパク質が多く、材料となるたんぱく質の摂取が少なければ、作られるタンパク質が少なくなり、そのバランスを維持することができなくなるのです。
(例: 筋肉が増えない、肌荒れがひどいなど)

もちろん、筋肉のタンパク質も食事や補食から摂るたんぱく質から作られます。たんぱく質をしっかりと摂ることで、筋肉のタンパク質が作られます。筋肉のタンパク質が作られることにより、筋量増加による筋力アップ、筋疲労からの回復、筋肉のコンディショニングなどにつながり、より良いパフォーマンス発揮につながるのです。

バランスのよい食事と補食のキホン(パートⅡ)

以上のように、カラダはタンパク質でできており、重要な栄養素の一つです。スポーツを行う人は、たんぱく質(アミノ酸)の摂取を考えることで、目標とするカラダ作りに取り組みましょう。

※パフォーマンス発揮のためのカラダ作りのヒントはこちら

5.補食の上手な取り入れ方

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週4~5日の部活動を行う学生や活発に活動するスポーツ選手などは、必要なエネルギーや栄養素が多く、3食だけでは十分に摂取しきれないことがあります。そのため、食事で摂取しきれないエネルギーや栄養素を「補う」ことを目的として「補食」を摂取します。当然、スナック菓子やケーキなどのおやつ(間食)とは区別して考えます。

補食は、様々な狙いを持って摂取します。なので、1日のどのタイミングで摂取するかによって、選択する食品も変わってきます。
例えば、中学校や高校の部活生の場合、エネルギーやたんぱく質の要求量が高いため、部活動の前に、おにぎりや魚肉ソーセージ、牛乳、チーズ、ヨーグルトなど、糖質やたんぱく質が含まれる補食を取っておくと良いでしょう。

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試合時の補食を時間別に考えてみましょう。運動開始2~3時間前では、脂質が少なく、比較的消化の早いおにぎり、うどん、カステラ、あんぱんなどが良いでしょう。1~2時間前であれば、バナナ、果物、100%ジュース、ゼリー飲料など、30分前は、100%ジュース、ゼリー飲料、サプリメント、スポーツドリンクなどが良いでしょう。基本的に、運動開始3時間以内は糖質を中心とした食品を摂取することを心がけると良いでしょう。

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たんぱく質は筋タンパク質の合成に必要な栄養素であるため、運動前後に意識をして摂取しているスポーツ選手が多いでしょう。しかし、たんぱく質は消化吸収に時間がかかるため、補食でたんぱく質を補給する場合には食品の種類や消化吸収の時間を考慮する必要があります。
そこで、消化の必要のないアミノ酸の摂取も考えの一つとして取り入れても良いでしょう。

バランスのよい食事と補食のキホン(パートⅡ)

以上のように、目的に応じた栄養素とタイミングを考え、補食を取り入れることで、日々の練習や本番でのパフォーマンスがしっかりと発揮できるように取り組みましょう。

〈監修者〉佐々木 将太(ささき しょうた)

佐々木将太(ささき しょうた)
北海道文教大学 人間科学部 健康栄養学科 講師。
京都府立大学大学院生命科学研究科応用生命科学専攻博士後期課程単位取得退学 (2011) 、博士 (学術) 、帯広大谷短期大学助教を経て、2019年より現職。公認スポーツ栄養士、管理栄養士。月刊スキーグラフィック「スキーヤーのための栄養学」監修。

これまでにスピードスケート、アイスホッケーに取り組むジュニアおよび女子アスリートを中心に栄養サポートを実施。現在は、管理栄養士を目指す学生と高校野球および陸上競技選手に栄養サポートを実施中。展開の途上ではあるが、寒冷環境で行うスポーツに特化した栄養摂取方法を模索した研究にも取り組む。スポーツ栄養分野の研究と現場の架け橋を目指す。

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