カラダの大半をつくっているアミノ酸と筋肉の関係とは?運動中に筋肉は減ってしまう!

カラダの大半をつくっているアミノ酸と筋肉の関係とは?運動中に筋肉は減ってしまう!

スポーツをするとき、しっかりとしたパフォーマンスを発揮したいですよね。運動によって筋肉のタンパク質が壊れる量が増えて、筋肉が減ってしまうこともあるのです。筋肉が減ってしまうとコンディションが下がるため、理想のパフォーマンスが発揮できなくなってしまいます。
筋肉はタンパク質でできていて、さらに、このタンパク質はアミノ酸から作られています。そのため、運動することで減ってしまう筋肉とアミノ酸の関係について知っておくことが、パフォーマンスをキープするためにも、大切なことなのです。

1.筋肉はアミノ酸でできている!筋トレにも大いに関係するアミノ酸

私たちのカラダと、アミノ酸がどう関係しているのか。人間のカラダが何からできているのかご存知ですか?

図1のように、私たちのカラダの60%は水、20%がタンパク質、そして残りの20%は脂質、糖質、ミネラルなどで作られています。全体の60%を占める水を除くと、残りの半分がタンパク質ということです。このタンパク質、なんと、たった20種類のアミノ酸がたくさんくっついて作られています。つまり、“人間のカラダの半分はアミノ酸でできている”のです。

運動するのに大切な筋肉も主にタンパク質でできています。この20種類のアミノ酸は、カラダの中で作ることができない、つまり食事から摂らなくてはならない必須アミノ酸と、カラダの中で作ることのできる非必須アミノ酸に分けられます。特に、必須アミノ酸の中でも、筋肉には、スポーツする人によく知られているBCAA(分岐鎖アミノ酸)が多く含まれていて、筋肉の中に含まれている必須アミノ酸のうち、約40%もあると言われています。

運動能力を上げるのに欠かせないのが、“筋トレ”ですよね。筋肉を鍛えると太くなったり、筋力が上がったりします。この筋肉、顕微鏡で細かく見てみると、筋繊維と呼ばれている細長い細胞が束になったものなのです。トレーニングをすると筋肉が大きくなるのは、主としてこの筋繊維の1本1本が太くなることによって起こります。

図1

2.筋肉は毎日入れ替わり、カラダから出て行ってしまう。スポーツをする人はより多くのたんぱく質を摂ることが大切。

私たちは感覚としてありませんが、実はカラダのタンパク質は新しいものがどんどん作られて、同時に古いものがどんどん壊される、そう、入れ替わっているのです。図2のように、体重60kgの一般的な成人だと、1日に古くなって壊されるタンパク質は約180g。そして、同じ量のタンパク質が新しく作られています1)。これは、毎日必要となるたんぱく質を摂ることでバランスが保たれているので、食事からしっかりと摂ることが大切です。

図2

食事からたんぱく質を摂ると、分解されてアミノ酸になり、カラダの中に吸収されて、血液によって全身に行き渡ります。この全身に行き渡ったアミノ酸を使って、毎日カラダのいろいろな場所でタンパク質が作られているのです。実感はないと思いますが、毎日カラダの中から一定量のタンパク質(アミノ酸)が出ていきます。つまり、カラダの中のタンパク質のバランスを保つためには、出ていく量と同じ量のたんぱく質を毎日摂る必要があるのです。筋肉でも同じように、筋肉に多く含まれているタンパク質が、毎日少しずつ入れ替わり、約半年をかけてその半分が入れ替わると言われています。つまり筋肉は、なんと約1年で全部が入れ替わるということです。

最近のアメリカスポーツ医学会(ACSM)2)の発表や国際オリンピック委員会3)では、スポーツ選手は体重1kgあたり1.2~2.0g/日(体重60kgの場合、1日あたり72~120g)のたんぱく質を摂ることが奨められています。一般的な成人のたんぱく質摂取量は、体重あたり0.95~1.09g/日です4)。スポーツ選手はなんと、一般の人に比べ、1.3~1.9倍ものたんぱく質を摂ることが奨められているわけです。

つまり、スポーツする人は、筋肉を十分に保つため、毎日食事からたんぱく質を多めに摂ることがとても大切なのです。

1) 寺田新 スポーツ栄養学.東京大学出版,pp120-121,2017
2) Thomas DT, Med Sci Sports Exerc 2016;48(3):543-68.
3) International Olympic Committee. Nutrition for Athletes.2012.
4) 日本人の食事摂取基準(2015年版)

3.運動がきつくなるほど、運動する時間が長くなるほど、筋肉は減っていく?

運動するためには、筋肉でエネルギーを使う必要があります。このエネルギーは、糖質や脂質を主なエネルギー源として作り出されますが、アミノ酸(タンパク質)も同じように使われます。

運動する人の状況によって差はありますが、カラダで使われるエネルギー量のうち、アミノ酸から作られるのは、全体の4~10%と言われています5)。ですが、筋肉に貯めておける糖質(グリコーゲン)が少なくなってしまった状態で、運動を続けていくと、タンパク質やアミノ酸がエネルギーを作り出すために多く使われてしまうようになります(図3)。その結果、使われた後に出てくる燃えカスのようなもの(尿素窒素というもの)が増えているのがわかると思います。つまり、保っておきたいカラダのタンパク質もどんどん壊されて、エネルギー源として使われていってしまうので注意が必要です。

また、より強く運動したり、運動する時間がより長くなったりすると、カラダの中のアミノ酸はもっと使われていってしまうというデータ6)7)もあります(図4)。運動をより強く、続ける時間が長くなるほど、アミノ酸が沢山使われてしまうことがわかります。

図3

図4

また、運動すると筋肉の中では、いくつかの種類のアミノ酸が減りやすくなります。その一つとして、スポーツをする人によく知られているBCAAがあります8)9)10)11)。運動中には、アミノ酸の中でも特にBCAAがエネルギー源として使われて、失われていきます。(図5)

図5

ここまで説明してきたように、筋肉では、タンパク質がいつも新しく作られ、同時に古いものが壊されています。しかし、運動している間は新しいタンパク質はあまり作られなくなり、一方、壊される量は多くなります12)。そのため、運動をすると、筋肉のタンパク質は壊される量の方が多くなってしまうのです。つまり、運動をすると、筋肉が少しずつ減って行き、コンディションが落ちてしまうことになるわけです。

5) Lemon PW, J Appl Physiol Respir Environ Exerc Physiol 1980;48(4):624-9.
6) Haralambie G, Berg A, Eur J Appl Physiol Occup Physiol 1976; 36: 39-48
7) D J Millward, Proc Nutr Soc.1994;53(1):223-40
8) Gibala MJ, Sports Med 2007; 37: 337-340
9) Van Hall G, The Journal of physiology 1996;494 ( Pt 3):899-905.
10) Rush JW, J Appl Physiol 1995;78(6):2193-200.
11) Shimomura Y, J Nutr 2006;136(1 Suppl):250S-3S.
12) AJ Rose, J Appl Physiol 2009

4.まとめ

以上のことからまとめると、(図6)

・筋肉はアミノ酸(=タンパク質)でできている。
・筋肉のたんぱく質はいつも入れ替わっている!
・だから、毎日たんぱく質(アミノ酸)を摂ることがとても大切。
・運動をよりハードに長くすると、筋肉のアミノ酸もエネルギー源として使われてしまう。
・運動をすると、新しい筋肉のタンパク質があまり作られなくなり、壊される量が増えてしまう。
・その結果、運動中は筋肉が少しずつ減っていき、筋肉のコンディションが落ちてしまう。

図6

運動をすると、皆さんの筋肉ではどんなことが起きてしまうかわかりましたか?
自分が納得のできるパフォーマンスを発揮するために、筋肉のコンディションを上げることを意識してみましょう。

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〈監修者〉杉田 正明(すぎた まさあき)

杉田 正明(すぎた まさあき)
現職:日本体育大学体育学部教授.博士(学術)
日本オリンピック委員会や日本陸上競技連盟などの科学スタッフの一員として、30年間にわたり医・科学サポート活動を行ってきており、わが国の国際競技力向上に寄与している。 2010FIFAワールドカップやロンドン、リオデジャネイロオリンピックでは競歩、マラソン代表選手など数多くの選手の科学的支援を行った。現在、東京2020に向けた取り組みを精力的に行っている。

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