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トレーニングの効果をより高める大切なポイントは栄養と休養にあり
パフォーマンスを上げるために欠かせないのが筋トレ、つまり筋力トレーニング。その効果をもっと高めるには、トレーニングの内容や方法だけでなく、トレーニングが終わった後に適切なケアとして、十分な栄養を摂り、しっかりと休養することがとても大切です。今回は、筋肉…
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筋トレによる筋肉量アップを効率化する栄養と休養!『必須アミノ酸高配合ホエイプロテイン』
筋量・筋力を高めるために欠かせないのは、トレーニングに加え、十分な栄養を摂り、しっかりと休養すること。栄養素の中で特に注目されているたんぱく質、最近ではプロテインを活用する人が増えてきています。しかし、運動した後に摂ると、それだけで…
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【学術雑誌記事紹介】運動選手の体づくりに対するたんぱく質・アミノ酸の最適な摂取方法(食と医療20号)
1月31日発売の食と医療(編:講談社エディトリアル)20号「スポーツと栄養」特集にて、味の素株式会社 スポーツニュートリション部 加藤が、「運動選手の体づくりに対するたんぱく質・アミノ酸の最適な摂取方法」について寄稿した。
パフォーマンス発揮につながる食事・栄養(パートⅠ:筋力アップとたんぱく質)
1.パワーの発揮のための食事・栄養
筋量アップに向けたたんぱく質の摂り方
走る、跳ぶ、持ち上げる、投げる、などのスポーツにおけるすべての動作には、筋肉が重要な役割を果たすことは皆さん十分に理解していることでしょう。筋肉が力を発揮するには、筋肉量(筋量)が必要になります。筋量を増やすためには、適切にたんぱく質を摂取することが重要です。
ここでは、筋量を増やすためのトレーニングと食事・栄養がどのように関わるかについて学びましょう。
筋量は、筋タンパク質の合成と分解のバランスで決まるため、筋量を増やすトレーニングや運動による筋肉への刺激に加え、「十分な栄養素の摂取」により、筋タンパク質の合成を高める必要があります。では、「十分な栄養素の摂取」とは何でしょう?スポーツを行う人に大切なことは、食事や補食から十分なたんぱく質を摂取することです。
なかでも、筋量を増やすために、『適切なタイミング』で、『適切な量』のたんぱく質を摂取することが必要になります。但し、筋量を効率よく増やすためにはたんぱく質だけでなく、糖質やビタミンの摂取も重要です。なぜなら、ハードな練習後に、たんぱく質だけ摂取した場合、たんぱく質がエネルギー源として使われてしまうため、筋タンパク質の合成に使われなくなってしまいます。そのため、たんぱく質と同時に糖質も組み合わせて摂ることが大事です。
筋量を増やすためには、どのようにたんぱく質を摂取すればよいでしょう?多くのポイントがありますが,今回は以下の4つにまとめてみました。
① 1食あたりのたんぱく質摂取量を確保する
② 1日あたりのたんぱく質摂取量を確保する
③ 運動後のたんぱく質摂取のタイミングと量を考える
④ エネルギーを十分に摂取する
筋量を増やすために、たんぱく質をたくさん摂取している方は多いと思います。しかし、たんぱく質を単にたくさん摂取すれば筋量が増えるわけではありません。効率良く筋量を増やすためには、適切なたんぱく質量を適切なタイミングで摂取する必要があります。
近年の研究で、タンパク質の合成を高めるためには、1食あたりのたんぱく質摂取量を体重1kgあたり0.24g以上(体重70kgの人は約17g以上)にする事が必要であることがわかってきました。特に朝食のたんぱく質摂取量が体重1kgあたり0.24gより少ない人では、筋量が少ないことが報告されています(安田ら, J Nutr. 2020)。したがって、1食あたりのたんぱく質摂取量を意識することが、効率的な筋量の増加の第一歩となります。
例として、朝食を食パン 2 枚とコーヒーで済ませてしまうと、たんぱく質は 11.2g しか摂れませんが、そこに、卵 1 個(7.4g)かウインナー3 本(7.1g)を追加し、コーヒーを牛乳 200mL(6.6g)に変更することで、朝食から摂れるたんぱく質量は約25g となります。 ※カッコ内はたんぱく質量
朝食、昼食、夕食と、それぞれ十分なたんぱく質を摂取することが筋量を増やすために必要です。特に朝食は、軽く済ませてしまう方が多いので意識して摂取していきましょう。
加えて、1日の総たんぱく質摂取量にも気をつける必要があります。スポーツを行う人のたんぱく質摂取量は、競技の種類や運動強度、内容にもよりますが、体重1kgあたり1.2~2.0gの範囲に設定することが奨められています(ACSM position stand 2016)。筋力トレーニングなど筋肉への負荷が多い時には多めに、持久系トレーニングの時には少なめに設定するなど、競技の種類に関わらず、トレーニングの内容に合わせてたんぱく質摂取量を設定しましょう。
1食でたくさんのたんぱく質を摂取することは難しいので、補食などをうまく活用していくと十分にたんぱく質を摂取することができます。
「筋トレを行ったあと、30分以内にプロテインを摂る」ように指導を受けたことがある方が多いと思います。これまでに行われた多くの研究において、トレーニング後30分以内にたんぱく質を摂取することで筋タンパク質合成が高まる結果が得られています。それでは、必ず筋トレ後30分以内に摂取しなければならないのでしょうか?答えは、「そうでなくても良い」です。筋トレ後、しばらくの間は筋タンパク質合成が高まった状態が継続します。なので、この間にたんぱく質を摂取してあげれば良いでしょう。
無理をして30分以内と考えるよりは、「少し余裕を持ってトレーニング後なるべく早めに」と考えておけば、心の余裕ができるかもしれません。たんぱく質の摂取量としては、20g程度を目安にするとよいでしょう。また、プロテインを摂ることで満腹になり、その後の食事が十分に食べられない方は、たんぱく質の分解物であるアミノ酸の活用を検討しましょう。
以上、パワー発揮のための筋量の増加のためのたんぱく質摂取についてでした。日頃からたんぱく質を意識して取り入れている方も多いと思いますが、ご自身の方法が正しかったか、もっと良くするにはどうするかについて、考え直してみてはいかがでしょうか。
〈監修者〉佐々木 将太(ささき しょうた)
北海道文教大学 人間科学部 健康栄養学科 講師。
京都府立大学大学院生命科学研究科応用生命科学専攻博士後期課程単位取得退学 (2011) 、博士 (学術) 、帯広大谷短期大学助教を経て、2019年より現職。公認スポーツ栄養士、管理栄養士。月刊スキーグラフィック「スキーヤーのための栄養学」監修。
これまでにスピードスケート、アイスホッケーに取り組むジュニアおよび女子アスリートを中心に栄養サポートを実施。現在は、管理栄養士を目指す学生と高校野球および陸上競技選手に栄養サポートを実施中。展開の途上ではあるが、寒冷環境で行うスポーツに特化した栄養摂取方法を模索した研究にも取り組む。スポーツ栄養分野の研究と現場の架け橋を目指す。