「食べたいのに食べられない」アスリートへ― カラダづくりを効率化する、アミノ酸という選択 ―

「食べたいのに食べられない」アスリートへ ― カラダづくりを効率化する、アミノ酸という選択 東海大学 健康学部 健康マネジメント学科 講師 安田純

日々トレーニングを重ね、より強いカラダを目指すアスリートたち。ただ、バスケットボールやハンドボール、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボールなど、高強度の運動を行いながら、カラダづくりを進める選手にとって「たくさん食べないといけないのに食べられない」「食べても筋肉がつかない…」など、栄養の悩みは尽きません。

そこで今回は、運動・栄養戦略の研究と現場指導に長年取り組んできた、東海大学 健康学部 健康マネジメント学科の安田純先生にインタビュー。胃腸への負担を軽減しながら、カラダづくりを効率化するためのアミノ酸活用について教えていただきました。味の素(株)でスポーツサプリメントの製品開発に携わる谷山が、その科学的根拠に迫ります。

≪この記事の内容≫

  • ・プロテインに頼りすぎて起きがちなカラダづくりの失敗
  • ・高強度トレーニング後に「食べられなくなる」科学的な理由
  • ・胃腸に負担をかけにくいアミノ酸という栄養戦略
  • ・ロイシンなどの必須アミノ酸が筋肉合成を支える仕組み
「アミノ酸活用で効率的なカラダづくり」東海大学 健康学部 健康マネジメント学科 講師 安田純先生

多くの学生選手が抱える「カラダづくり」の悩み

谷山:私は学生時代にアメリカンフットボールの選手でしたが、部員の中にはトレーニング後になかなか食事が摂れず、カラダづくりに悩むメンバーが多くいました。安田先生が指導されている選手たちは、どのような悩みを抱えているのでしょうか?

安田:私が見ているバスケットボールやサッカー、アメリカンフットボールの選手たちも、基本的に増量希望の選手が多いのですが、日々の運動量が多いので、食べる量も増やさなければいけません。「食べるのもトレーニングの一環」ではありますが、トレーニングが高強度だとやはり食べられない選手もいるため、悩みを抱える選手からのサポート依頼は多いですね。筋肉を増やすには、エネルギー源となる炭水化物(糖質)の摂取が重要ですが、その重要性を十分に理解できていない選手も多く、どうしてもプロテインの摂取などに頼ってしまう選手も多い印象を持っています。

東海大学 健康学部 健康栄養マネジメント学科 講師 安田純先生

谷山:学生アスリートはプロテインをどのように捉えていますか?

安田:プロテインに固執する選手も多く、「プロテインさえ飲んでいれば筋肉がつく」という考え方が広まっている気がしますね。本来サプリメントは補助的に使われるべきものなのに、特別なパワーがあると受け取っている選手も多い。そのような選手ほど、増量やウェイトコントロールがうまくいかないと感じています。

また、高強度の運動後は気分が悪くなったり、ご飯が食べられない状況になりがちですが、そこで「無理やりプロテインを飲まなければならない」と考えてしまう選手もいます。その結果、さらに気分が悪くなったりするので、プロテインを嫌う選手もいます。

味の素㈱ スポーツ&ヘルスニュートリション部 マーケティンググループ 谷山雅直

運動後の食欲低下の科学的な理由

谷山:運動後に食欲が低下するのは、どのような理由があるのでしょうか?

安田:運動後の食欲低下については、論文でも数多く報告されています。生理学的に見ると、運動後は体内のインスリン感受性が高まり、筋を含めた各組織への栄養素の取り込みが促進する状態になる。ただ、神経学的には、運動中は交感神経が優位になります。そうすると、胃腸は動かなくなる、というのが食欲低下の理由の一つですね。加えて、運動による内臓血流量の低下や食欲関連ホルモンの変動も影響しています。

運動直後も交感神経優位な状態が続くため、おにぎりなどの固形物やボリュームのあるプロテインドリンクを摂取しても、消化吸収機能も十分に働かない状況になってしまいます。

食欲が湧かない状態で無理に摂取するのではなく、栄養戦略としては、なるべく胃腸への負荷を取り除く形で考えなければなりません。通常のたんぱく質を摂取するのか、もっと細かくしたペプチドやアミノ酸の摂取を考えていくか。そういった選択も戦略の一つだと考えています。

東海大学 健康学部 健康栄養マネジメント学科 講師 安田純先生

谷山:カラダへの負担を考えると、より分解された栄養素を摂取するのがポイント、ということでしょうか?

安田:はい、そのように考えています。選手たちからも、実際にペプチドやアミノ酸などの方が摂りやすい、あるいはプロテインを飲むよりもカラダへの負担が少ないとの声が出ていますね。

胃腸に負担をかけず、筋肉合成のスイッチを入れる「必須アミノ酸」

谷山:実際にアミノ酸を摂取する時に、特に気をつけるポイントはありますか?

安田:基本的に、筋肉をつくる上で重要なのが「必須アミノ酸」です。アミノ酸は合計で20種類あり、そのうち9種類の必須アミノ酸と11種類の非必須アミノ酸でたんぱく質を構成しています。普段、しっかり食事を摂られている方であれば、補食では必須アミノ酸を摂取すれば、体内で残りの11種類の非必須アミノ酸をつくることができます。つまり、補食で必須アミノ酸を摂っていれば筋肉もつくられる、という理論になります。

特に、必須アミノ酸の「ロイシン」は筋肉の合成にスイッチを入れる役割を果たします。運動と合わせてロイシンを中心としたアミノ酸を摂取するのは、非常に理にかなっていますね。

谷山:ロイシンが含まれているアミノ酸製品を選べばよいのでしょうか?

味の素㈱ スポーツ&ヘルスニュートリション部 マーケティンググループ 谷山雅直

安田:ロイシン高配合のアミノ酸というものが販売されています。また、研究データとしても、そのロイシン高配合のアミノ酸が、普通のホエイプロテインと比べて筋肉合成にどう影響するか検証されています。報告によると、ホエイプロテインを飲むのと、ロイシン高配合のアミノ酸を摂取するのとでは、筋肉の合成に差がなかったという結果が出ています。

こうしたデータを踏まえると、やはり必須アミノ酸をしっかり摂取していれば、筋肥大もしっかり見込めると言えます。ですので、サプリメントの選択において「ロイシン高配合」は、今後も重要なキーワードになると思います。

谷山:最後にアミノ酸の活用について、スポーツに取り組んでいる学生の皆さんへメッセージをいただけますか?

安田:アミノ酸自体が、常に万能ではありません。その有用性は使い方次第です。ホエイプロテインだけで十分な選手もいますが、普段から高強度のトレーニングをしている学生選手やプロアスリートほど、基本的にアミノ酸の活用場面が多くなってくる。一度ご自身の食事を見直して、アミノ酸活用まで含めた栄養戦略を検討した方が、ストレスのないアスリート生活を送れるのではないでしょうか。

まとめ|「食べたいのに食べられない」アスリートへ

  • ・高強度のトレーニング直後は、食欲や消化吸収能力が低下しやすい
  • ・その状態でのプロテイン摂取は、胃腸への負担が大きくなりがち
  • ・必須アミノ酸は、胃腸の負担を軽減し、筋肉合成をサポートできる
  • ・効率的なカラダづくりには、必須アミノ酸の活用も視野に入れよう
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東海大学 健康学部 健康マネジメント学科 講師 安田純先生

東海大学 健康学部 健康マネジメント学科 講師 安田純先生

博士(スポーツ健康科学)、管理栄養士、NSCA-CSCS

立命館大学大学院 スポーツ健康科学研究科 博士課程修了後、国立スポーツ科学センターの研究員などを務め、2023年より現職。筋肉量の維持・増加をテーマに、運動・栄養戦略の研究に取り組むとともに、エビデンスに基づく知見を競技現場の栄養サポートへと実装している。

味の素㈱ スポーツ&ヘルスニュートリション部 マーケティンググループ 谷山雅直

味の素㈱ スポーツ&ヘルスニュートリション部 マーケティンググループ 谷山雅直

学生時代はアメリカンフットボールに打ち込み、カラダづくりやコンディショニングの重要性を体感。2013年入社後、家庭用商品の営業などを経て、2019年より現職。競技現場や研究者の知見を製品設計に生かしながら、スポーツサプリメント開発に取り組んでいる。

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