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バランスのよい食事と補食のキホン(パートⅡ:筋肉とたんぱく質・アミノ酸、補食の活用)
スポーツを行う人にとって、日々の食事が重要であることは、みなさんも理解していることだと思います。特に、「食事をバランスよく食べる」ことが重要であることを理解していても、日々の食事について考え、行動できる人は多くはないでしょう…
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パフォーマンス発揮につながる食事・栄養(パートⅠ:筋力アップとたんぱく質)
「パフォーマンスを上げたい!」運動愛好家からトップアスリートまで、多くのスポーツ実施者が思い描いていることではないでしょうか。ここでは、パフォーマンスのうち、「パワー」と「持久力」の発揮という点に対して、食事や栄養が…
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ベストなコンディションにするための食事と栄養(パートⅢ:筋肉のリカバリー)
より良いパフォーマンスを発揮するためにはカラダを良い状態に整えなければなりません。スポーツではよく『コンディション』や『コンディショニング』という言葉を使いますが、みなさんはその言葉の意味を考えてみたことはあるでしょうか?『コンディション』は…
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【学術雑誌記事紹介】運動選手の体づくりに対するたんぱく質・アミノ酸の最適な摂取方法(食と医療20号)
1月31日発売の食と医療(編:講談社エディトリアル)20号「スポーツと栄養」特集にて、味の素株式会社 スポーツニュートリション部 加藤が、「運動選手の体づくりに対するたんぱく質・アミノ酸の最適な摂取方法」について寄稿した。
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筋肉の疲労回復、コンディショニングをサポート!『ロイシン高配合必須アミノ酸ミックス』
試合や練習時、筋肉が疲れてしまって、満足のいくパフォーマンスが発揮できない。運動した後、筋肉の疲れが翌日以降も残っていて、納得のいくトレーニングができない。そんな経験、ありますよね。筋肉を良い状態に保つ、筋肉のコンディショニングに…
[論文紹介]持久的トレーニング中のたんぱく質摂取量が多いほど、血漿中の必須アミノ酸が多く、3-メチルヒスチジンが少ない。
これまでに味の素株式会社とトロント大学は、共同研究を通じて、持久運動選手におけるたんぱく質摂取推奨量に関する研究 1),2),3),4) を実施し、持久運動選手における一日のたんぱく質摂取推奨量がこれまでの推奨値よりも高い1.83g/㎏必要であることを報告してきました1) 。
今回の報告は、その研究の続報に当たり、持久的トレーニング期間中のたんぱく質摂取量の違いによって、血中アミノ酸濃度(特に必須アミノ酸濃度と、BCAA濃度)を維持し、筋原線維タンパク質分解の指標である血中3-メチルヒスチジン濃度を低下させることを見出しており、持久的トレーニング期間中にたんぱく質摂取を通じて血中アミノ酸濃度を維持することの重要性を示す論文です。
味の素株式会社では、スポーツ選手にとって必要な栄養素を明らかにするため、先進的な研究を推進していきます。このような研究を通じ、運動選手、運動愛好家のよりよりトレーニングライフを充実したものに貢献していきます。
【論文概要】
Amino Acids. 2022 Dec 7. doi: 10.1007/s00726-022-03210-z. Online ahead of print.Greater plasma essential amino acids and lower 3‑methylhistidine with higher protein intake during endurance training: a randomized control trial
持久的運動は、体内のアミノ酸代謝を変化させる。よって、運動後の回復をサポートするために、より多くのアミノ酸を摂取する必要がある。特に、たんぱく質摂取量が不足している場合、血中アミノ酸濃度は、骨格筋タンパク質の分解により維持されており、持久的トレーニング期間中の日々のアミノ酸の摂取量の違いは、血中のアミノ酸濃度に影響を与える可能性がある。そこで、持久的トレーニングを行っている男性9名を対象に、4日間のランニングトレーニング(一日当たり20km、5km、10km、20kmをそれぞれ1~4日目に実施)を3回繰り返して実施した。3回のトレーニング期間ごとに、異なるたんぱく質摂取量になるように試験食を提供した(0.94 g/kg 体重(低たんぱく質食群), 1.20 g/kg 体重(中たんぱく質食群)or 1.83 g/kg 体重(高たんぱく質食群)。試験の4日目に24時間の蓄積尿を採取し、筋原線維たんぱく質分解のマーカーである3-メチルヒスチジン(3MH)の測定を行った。また、5日目の朝に一晩絶食後に、採血を行い、血中アミノ酸濃度および3MHの分析を行った。
血中必須アミノ酸および血中BCAA濃度は、高たんぱく質食を摂取した際に、他の2群に対して有意に高い値を示し、筋原線維タンパク質分解の指標である3MHは、高たんぱく質食摂取によって、他の2群に対して有意に低い値を示した(P < 0.05)。一方、3MHの尿中排泄量は食事の影響がみられなかった。このことから、先行研究にて求められた、持久的トレーニング時の最適な1日のたんぱく質摂取量(1日1.83g/kg)を摂取することで、血中アミノ酸濃度が維持され、筋原繊維タンパク質の異化が抑制されたと考えられる。高たんぱく質食摂取によって、血中アミノ酸濃度を維持することで、この持久運動選手におけるタンパク質のネットバランス(合成と分解の差)の改善に寄与し運動からの筋肉の回復が促進されていると思われる。
原著:https://link.springer.com/article/10.1007/s00726-022-03210-z
引用文献:
- [1]Kato H, Suzuki K, Bannai M, Moore DR (2016) Protein Requirements Are Elevated in Endurance Athletes after Exercise as Determined by the Indicator Amino Acid Oxidation Method PLoS One 11:e0157406 doi:10.1371/journal.pone.0157406
- [2]Kato H, Suzukik, Bannai M and Moore DR (2018). “Branched-Chain Amino Acids Are the Primary Limiting Amino Acids in the Diets of Endurance-Trained Men after a Bout of Prolonged Exercise.” J Nutr 148(6): 925-931. 10.1093/jn/nxy048
- [3]Kato H, Volterman KA, West DWD, Suzuki K and Moore DR (2018). “Nutritionally non- essential amino acids are dispensable for whole-body protein synthesis after exercise in endurance athletes with an adequate essential amino acid intake.” Amino Acids 2018;50(12):1679-84. doi:10.1007/s00726-018-2639-y.
- [4]Williamson E, Kato H (co-first author), Volterman KA, Suzuki K, Moore DR. The Effect of Dietary Protein on Protein Metabolism and Performance in Endurance-trained Males. Med Sci Sports Exerc 2019;51(2):352-60. doi:10.1249/MSS.0000000000001791.