自転車に必要な能力とアミノ酸の機能
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自転車に必要な能力とアミノ酸の機能

長いときは数時間にも及ぶ自転車競技。長時間走行においては、エネルギー切れになる前の栄養補給が不可欠。特に、数日間にわたる試合では、筋肉のリカバリー、持久力のもとになる栄養摂取が非常に重要です。
ここでは自転車競技で必要とされる能力や栄養素を解説し、それをサポートするアミノ酸の機能を紹介します。
長時間の走行で疲れた筋肉を回復
自転車競技では大腿四頭筋やハムストリングスなど下半身の筋力が重要です。これらの筋肉はカラダの中でも大きな筋肉に分類されますが、長時間走行によってダメージを受けると筋力が低下してしまいます。筋力低下を防ぐためにはダメージをいち早く回復することが大切。そのためにはたんぱく質、アミノ酸の摂取が必要になります。
特に“ロイシン”を多く含む必須アミノ酸は筋肉の回復に効果があります。
走力を効率的に高める筋トレ後の栄養戦略
スプリントでスピードを出すには、脚の筋力・筋量を高める必要があります。そのためにも、筋力トレは欠かせません。またヒルクライムなどではハンドルを引く腕の筋力も鍛える必要があります。トレーニングが終わった後には適切なケアが必要。休養とともに、たんぱく質(プロテイン)を中心とする十分な栄養摂取が不可欠。飲むタイミングや量だけでなく、中身の工夫も必要です。
筋肉合成のシグナルとなる“ロイシン”、筋肉の材料となる“必須アミノ酸”をタンパク質と一緒に摂取することが、効率的なカラダつくりには重要です。
脂質をエネルギー源として使うためにミトコンドリアをサポート
持久力が重要となる自転車競技は、多くのエネルギーが必要になります。主なエネルギー源は、糖質や脂質。息が上がるほどキツい運動で使われるのは主に糖質ですが、カラダに蓄えられる糖質のエネルギー量は不十分。そのため、脂質もエネルギー源として使うことが重要です。
脂質をエネルギーとして使うためには、重要なのが細胞の中にある「ミトコンドリア」。アミノ酸の一つ“シスチン”はミトコンドリアを酸化ストレスから守ることによって、ミトコンドリアの働きを高めてくれます。
長時間に及ぶ自転車競技では戦略的な糖質補給がカギ!
糖質はエネルギー源として大切な栄養素の一つですが、その量には限りがあるため、自転車のように長時間ハードな運動をすると、途中で体内の糖質を使い果たしてしまう“ハンガーノック”になってしまいます。自転車競技では1時間あたりに500kcalが必要なので糖質を積極的に摂取する必要があります(体重60㎏のヒトが時速20kmで1時間走った場合)。
アミノ酸の“アラニン”と“プロリン”には糖質のエネルギーを効率的に体内に蓄える働きがあり、持久力の維持に役立ちます。
30年以上のキャリアを持つコーチとプロコンチネンタルチーム栄養士が対談
自転車競技選手指導30年以上のキャリアを持つストレングス&コンディショニングコーチの北見裕史さんと、「スキルシマノ」の栄養士を務めた経験も持つ斉藤裕子さんが特別対談。
まとめ
自転車選手に求められる能力 | アミノ酸の機能 |
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長距離を走行することによって激しいダメージを受けた筋肉のリカバリー。 | “ロイシン”を多く含む必須アミノ酸が筋肉の回復を早める。 |
脚の筋量・筋力を高めるために欠かせない筋力トレーニング。その後の十分な栄養を摂取と休養が重要。 | “ロイシン”、“必須アミノ酸”、タンパク質により効率的な筋肉合成が可能になる。 |
長い距離を走るための持久力。少ない糖質をカバーするために、脂質を有効活用する必要がある。 | “シスチン”は脂質のエネルギー利用を助ける。 |
長距離走行するためにはスタミナ切れやバテをなるべく回避するのがポイント。血糖値をキープすることが大事。 | “アラニン”、“プロリン”は糖質のエネルギーを効率的に体内に蓄える働きがあり、持久力の維持に役立つ。 |
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