[学会・セミナー報告]日本アミノ酸学会主催 第6回産官学連携シンポジウムにおいて、シスチンの2つの効果について発表

味の素株式会社食品研究所は、日本アミノ酸学会主催による第6回産官学連携シンポジウム(2021年5月31日、オンライン開催)において、シスチンの2つの効果に関する報告を行いました。

シスチンは、非必須アミノ酸であるシステイン2分子が結合しています。このシスチンは、カラダの中で生じる酸化ストレスを減らす役割を持つグルタチオン(GSH)の原料であり、カラダの抗酸化機能を高めることが知られています。

一方、運動によって生じる酸化ストレスは、細胞内のミトコンドリアにおけるエネルギー産生の低下や、消化管粘膜のダメージによるバリア機能の低下などを起こすことが知られています。これらの酸化ストレスを起点とした問題に対して、シスチンが改善効果を有することを明らかにし、その成果を発表しました。

①シスチンはミトコンドリアのエネルギー産生を改善する

細胞内の小器官であるミトコンドリアは、糖質や脂質から運動に必要となるエネルギー物質であるアデノシン三リン酸(ATP)を産生することが知られています。しかし、運動中に発生する酸化ストレスにより、ミトコンドリアにおけるATP産生機能が低下してしまいます。

そこで我々は、骨格筋由来細胞において、酸化ストレス(過酸化水素)により起こるミトコンドリア機能の低下に対する、シスチンの効果について検証を行いました。
その結果、シスチンにより、細胞内のGSH濃度が上昇し、酸化ストレスを軽減し、ミトコンドリアにおけるATP産生を改善することを確認しました。

以上のことから、シスチンが運動中においてエネルギー産生を改善する可能性が示唆されました。

[学会・セミナー報告]日本アミノ酸学会主催 第6回産官学連携シンポジウムにおいて、シスチンの2つの効果について発表

②シスチンは酸化ストレスによる消化管バリア機能低下を防ぐ

食物から摂取する栄養成分は、消化管(主に小腸、大腸など)から吸収されます。一方、消化管の中には、腸内細菌や毒素などの異物が存在するため、消化管は、それらの異物が体内へ侵入するのを防ぐバリア機能を有しています。
しかし、この消化管のバリア機能は、運動により低下してしまうことが報告されています。バリア機能が低下し、消化管の中の異物が体内に侵入してしまうと、カラダ全体の炎症を悪化させてしまう恐れがあります。

そこで我々は、ヒト消化管由来細胞の酸化ストレス(過酸化水素)によるバリア機能の低下に対する、シスチンの効果について検証を行いました。
その結果、シスチンにより、細胞内のGSH濃度が上昇し、酸化ストレスによる炎症を抑え、消化管のバリア機能低下を改善することを確認しました。

以上のことから、シスチンは運動中のバリア機能を改善することで、カラダ全体の炎症を防ぐ可能性が示唆されました。

[学会・セミナー報告]日本アミノ酸学会主催 第6回産官学連携シンポジウムにおいて、シスチンの2つの効果について発表

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