ベストなコンディションにするための食事と栄養(パートⅡ:パフォーマンス発揮)

ベストなコンディションにするための食事と栄養(パートⅠ)

より良いパフォーマンスを発揮するためにはカラダを良い状態に整えなければなりません。スポーツではよく『コンディション』や『コンディショニング』という言葉を使いますが、みなさんはその言葉の意味を考えてみたことはあるでしょうか?

 

『コンディション』は言葉の意味の通り、その時の「状態」を示す言葉です。コンディションは、トレーニング内容、食事・栄養、精神面などの影響を受け、日々変化しています。『コンディショニング』は、スポーツにおいて、より高いパフォーマンス発揮、より良い成績を目指して、カラダや精神を整えることを意味しています。つまり、「ベストパフォーマンス」はコンディショニングを行うことで得られると言っても過言ではないでしょう。

 

このコンテンツでは、様々なコンディショニングに対して、食事・栄養がどのように関わるかを学んでみましょう。そして、自分に必要なコンディショニングを考え、取り入れてみましょう。

2.パフォーマンス発揮のための3つの要素と試合当日の食事

良いパフォーマンスの発揮には、コンディションの把握が重要であることをお話しました。しかし、コンディションを把握したとしても、そのデータをコンディショニングに繋げなければベストパフォーマンスは得られません。

スポーツにおいて、パフォーマンスを引き出すための3つの要素が必要となります。それは、適切な「トレーニング」「休養 (睡眠)」「栄養」です。この3つの要素のバランスが整ったとき、ベストパフォーマンスが発揮できるということになります。

例えば、バランスのよい食事と補食のキホン(パートⅡ)で説明しましたが、筋肉のタンパク質は常に分解と合成が繰り返されて維持されています。しかし、分解と合成のバランスが崩れる、つまり激しいトレーニングを行ったにも関わらず栄養が足りない(トレーニングと栄養のバランスが崩れる)と、筋肉のコンディションは低下してしまうでしょう。

また、激しいトレーニングを行い、それに合わせて食事を摂取していたとしても、夜ふかしなどで休養の時間を削ってしまうと、カラダの回復が遅くなり、疲労が蓄積してしまいます。そのような状態でさらにトレーニングを重ねると、悪循環を引き起こし、ケガや疾病の原因となってしまいます。

このような例からも、コンディションを把握して「トレーニング」「休養 (睡眠)」「栄養」のバランスを整えるコンディショニングが重要であることがわかります。

これらの3つの要素の上には、試合やレースが設定されると思います。試合当日は緊張などによりコンディショニングが難しいことが想定されます。そのような中でも、食事をしっかり食べ、補食を挟んで試合に臨んで欲しいと思います。

試合当日の食事は適当に設定するのではなく、1日のスケジュールに合わせて計画することが重要です。一般的に、試合開始3~4時間前までにバランスの良い食事を摂ることが奨められています。また、運動前1~2時間におにぎりやサンドイッチなどの炭水化物を十分に含む食品を摂ることも良いでしょう。

特に、おにぎりは具材を選ぶことでたんぱく質や脂質も摂取することができます。おすすめは「とり五目」のような炊き込みご飯や混ぜご飯です。とり五目のおにぎりは、鶏肉,野菜が食材として使用されており、たんぱく質、脂質、炭水化物のバランスが比較的良い内容です。また、濃い目の味になっているので、食欲も湧いてくるでしょう。おにぎりの具材として、シャケ、ツナマヨ、昆布など様々ありますが、食べてはいけない具材、というものはありませんが、唐揚げや海老天などは脂質が多いため避けたほうが良いかもしれません。コンビニやスーパーなどで調理済み品を食事として選ぶ場合には、栄養表示を見て、炭水化物やたんぱく質が十分に含まれているかを確認すると良いでしょう。

運動直前にはゼリーや飲料などから糖質を摂取することが良いでしょう。また、消化の必要のないアミノ酸を活用することもおすすめです。補給の時間と食事、食品などの組み合わせを考えて取り入れてみましょう。

以上のように、「トレーニング」「休養 (睡眠)」「栄養」のバランスを整え、さらに、試合当日のエネルギー、アミノ酸の補給を行うことでコンディショニングを行い、ベストなパフォーマンスの発揮を目指しましょう!

※パフォーマンスのための筋肉コンディショニングのヒントはこちら

〈監修者〉佐々木 将太(ささき しょうた)

佐々木将太(ささき しょうた)
北海道文教大学 人間科学部 健康栄養学科 講師。
京都府立大学大学院生命科学研究科応用生命科学専攻博士後期課程単位取得退学 (2011) 、博士 (学術) 、帯広大谷短期大学助教を経て、2019年より現職。公認スポーツ栄養士、管理栄養士。月刊スキーグラフィック「スキーヤーのための栄養学」監修。

これまでにスピードスケート、アイスホッケーに取り組むジュニアおよび女子アスリートを中心に栄養サポートを実施。現在は、管理栄養士を目指す学生と高校野球および陸上競技選手に栄養サポートを実施中。展開の途上ではあるが、寒冷環境で行うスポーツに特化した栄養摂取方法を模索した研究にも取り組む。スポーツ栄養分野の研究と現場の架け橋を目指す。

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